僕たちは、AIoTヨガマット「yoctoMat」を開発しています。
... と言うと、「ヨガマットの会社ね」と思われるんですが、それは少し違うんです。
僕たちが本当にやっていることは、
「身体と重力の関係を、データで理解すること」
だと思っています。
重力の話をさせてください
ヨガを長く見ていると、
人って「重力との付き合い方」が、本当に違うんです。
立つ、座る、踏ん張る、バランスを取る。
マットの上での動作は全部、重力に対してどう重心を保つか、という話に帰着します。
インストラクターはそれを目で見て、感覚で判断して、言葉にしている。
でも実は、その「感覚」の中に、ものすごい量の情報が詰まっていると思います。
僕はずっと、「その情報を、データとして取り出せないか」を考えてきました。
1,200個以上のセンサーから始まった
yoctoMatには、1,200個以上の圧力センサーが入っています。
人間の感覚に比べたら、まだまだです。
でも「重力の地図」を描くには、十分だと思っています。
マットに乗ると、
どこに体重がかかっているか
重心がどこにあるか
左右のバランスがどう偏っているか
が見えます。
「マットから重心や重力が分かる」
お客様先でこれを話すと、かなり直感的に伝わります。
重力は、みんなが毎日感じているものだから、だと思います。
実際、どう動いているか
今年から本格的に進めているのが、これらのデータをAIに解析させる取り組みです。

仕組みはとてもシンプルなものです。
生徒がyoctoMatの上でレッスンをすると、データがBluetoothで飛んでクラウドに蓄積され、AI Engineが学習し、インストラクターへリアルタイムにフィードバックが返る。
そんな仕組みを、今作っています。
絵の一番下に書いてある一行が、全てを表しています。
System gets smarter over time → Better guidance → Better practice
インストラクターが長年体に刻んだ「重力の感覚」を、マットが少しずつ理解していく。
そして、インストラクターの最良のパートナーとなり、生徒の方々に、より深い学びの時間を提供していく。
そんなイメージです。
「重力を感じる」という違い
Apple Watchは、身体に「身につける」。
カメラAIは、身体を「見る」。
yoctoMatは、重力を「感じる」。
この差は、思ったより大きいと僕は思っています。
加速度センサーは動きを拾います。
カメラは姿勢を推定します。
でも圧力センサーは、
「身体が重力にどう反応しているか」
を直接拾います。
それは、これまでのセンサーとは少し違う、“身体と重力の関係” を見るためのデータだと思っています。
最近、世界では「Physical AI」「Embodied AI」という言葉がよく出てきています。
AIをリアル世界や身体と接続する流れです。
Googleも、ウェアラブルデータをAIで解析し、身体状態を理解する方向へ研究を進めています。
https://pharmaphorum.com/news/google-wearable-ai-can-learn-language-our-bodies
また、Embodied AI / Physical AI領域そのものも、世界中で急速に研究が進んでいます。
https://www.techrxiv.org/doi/pdf/10.36227/techrxiv.176238257.73914361/v1?download=true
さらに、圧力センシングマット × AI によるリアルタイム解析研究も進んでいます。
https://www.ijcai.org/proceedings/2024/0796.pdf
歩行解析やフレイル予防についても、AIを用いた継続的モニタリングが広がっています。
https://arxiv.org/abs/2508.03436
僕たちは、自分たちでそう呼んでいなかっただけで、気づけばこの流れの中にいた、という感覚があります。
マットが教えてくれる、もう一つの現場
最近は、フィットネスジムやピラティススタジオへのデータ連携も増えてきています。
「うちのアプリに、重心データを入れたい」
「レッスン中の姿勢変化を記録したい」
そういったニーズに、プラグインのような形で関わっていけたらと考えております。
また、最近ではシニア向けにも活用が広がってきています。
「マットの上に座って、立って、歩く」
たったそれだけで、身体機能が数値になり、今回お話したようにそこにAI解析が入ることで、活用の幅はさらに広がっていくと思っています。
今後は、転倒リスクが見えるような機能の実装も開発予定です。
これは、なかなかに面白い展開だと、個人的にも思っています。
重力の世界は、ヨガスタジオだけにとどまりませんでした。
まとめ、というか近況報告
「ヨガマットの会社」から始まったけれど、今やっていることは、身体データとAIを繋ぐ領域に入ってきています。
まだぜんぜん途中の段階です。
当然、全部できているわけではありません。
でも、「重力を可視化する」という入口から始まった会社が、ここまで来た、というこの感覚やそのプロセスを、ここで少しずつ共有していけたらと思っています。
身体データ、AIoT、フィットネス×AI、Physical AI。
こういった文脈で一緒に何かやりたい方がいれば、ぜひお声をかけてください。
マットから始まる話、まだまだ続きそうです。
